へき地で展開するにはノウハウが必要。持続可能な運営で地域の在宅療養を支える訪問看護ステーション
#過疎地域、中山間地域での取組
#看護師
#切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進
| 都道府県 | 北海道 鹿追町 |
|---|---|
| 人口規模 | 5,061 人 |
| 高齢者人口(65歳以上人口) | 1,596 人 |
| 高齢化率 | 31.5 % |
取組の背景
・介護保険開始前後の時期に、地域に訪問看護がなく、仲間と共にNPO法人を立ち上げた。訪問看護が浸透していない時代だったため、当初は居宅介護支援事業所を併設し、「まずは知ってもらう」ことを目指した。 ・統括責任者の保健師・訪問看護師としての実体験から「一人ひとりと向き合う看護」の必要性を実感し、質の高いケアの提供を目指す。 ・10 年目に、「地域の外へ、積極的に出てもよいのでは」との助言を受け、へき地モデルを他の未整備地域に展開することを念頭に、サテライトを開設した。 ・「大規模化しない」「迅速に動けるNPOの強みを活かす」「連携しないと成り立たない」という基本理念の下、地域内で囲い込むのではなく、地域全体の持続可能性を重視している。
取組の概要
・訪問看護の空白地帯に新たな訪問看護事業所が立ち上がる際のゼロイチ期に、当該事業所が新規立ち上げ事業 所に伴走支援を行っている。地域側の自走を促しつつ、ノウハウの共有・相談対応を行い、経営が安定するタイミング(1~2年程度)で、徐々に支援を弱めながら、最終的にその地域から撤退している。 ・十勝ではICTツールがバイタルリンクで一本化され、病院・訪看・介護等の多職種で情報共有している。運用ルール(例:24時間以内に1回確認、緊急時は電話等)を地域で決定し、管理者の対応負担が増えないように工夫している。 ・医療的ケア児の地域連携拠点事業を6~7年前から担い、医療・教育・福祉・地域住民などと協働。PDCAよりも「評価ではなく振り返り(AAR方式)」を重視し、声の小さい職種も話せる場づくりを意識している。
取組で苦労した点
・バイタルリンクでは、利用者の情報共有だけでなく、訪問看護事業所同士が情報連携出来るルームを活用。例えば更別村では、訪問看護事業所と医師が情報共有できるルームをICT開設する等それぞれの地域の状況やニーズに合わせて、活用している。 ・へき地等における訪問看護事業所は、競合よりも協働する必要があるとの考えから、利用者や訪問看護事業所の状況を踏まえ、必要であれば他の訪問看護事業所に対応の依頼をかけることもある。 ・行政との関わりでは、行政に過剰な期待をかけ過ぎず、まずは民間でゼロイチ(起業の初期段階の土台を作る時期)を作ってから、「ここを協働してほしい」と依頼をするようにしている。行政は人事異動があるため、つながりを保ちながら、現在の担当者では連携が難しい場合であっても、その後を想定して良い関係を築くことを意識している。
取組の効果
・訪問看護の空白地帯に訪問看護を届けることで、へき地での在宅支援が成立する。利用者・家族の満足度が上がるサービスを提供することで、生活重視のケアが地域に浸透しつつある。 ・屋根瓦方式により、地域の新規ステーションを支援し、かしわのもりは前向きに徐々に撤退(事例?清水町、芽室町など)。 ・バイタルリンク導入により、広域であっても日常的な情報共有の負担を軽減できるだけでなく、災害時における連携にも対応している。 ・多職種連携活動は、関係者が「楽しく続ける」ことで徐々に浸透している。最近では、協議体に呼ばれるなど発言する機会が増えた。
今後の方針
・十勝に住んでいる方、十勝が好きな方が、住み続けられる地域、誰もが安心して暮らし続けられる地域にしていきたい。そのために、かしわのもりは「専門性より関係性」「治療より生活」「薬より活動」を実践し、生活の質が上がる在宅ケアを地域に提供し続ける。 ・へき地で無理に大規模化するのではなく、小さな組織が連携し、役割分担しながら支え合う。そのためには地域内で、訪問看護・医療・介護・保健・福祉・教育が「必要な時に、必要な太さでつながること」が大切である。 ・行政は、主導するのではなく、民間の芽を活かしながら、必要な場面、タイミングから参画していくのが良いのではないか。